いつか肩を揃える日まで
「大体狂介は昔からそうだよ頭固くて弱虫で腰抜けでここぞって時に動かないしねちねちと人の弱みを突くようなまねを」
「伊藤」
「あぁもう本当イライラするなお前の言っていることはさして間違ってるとは思わないけどやり方があれなんだよ、陰険」
「伊藤時間だ」
「後考え方と。この猜疑心の権化め」
「伊藤それでどうするんだ」
「・・・さっき言っていたような感じで、いい」
そうか、とだけ山県は頷いて、立ち上がった。もう閣議の時間だ。そろそろ部屋を出ないと間に合わない。
伊藤は未だにぶつぶつと何かを呟いていたが、山県が立ち上がって扉を開け部屋の主人を待っているのを見て、渋々立ち上がった。
いつも通りどうせ時間ぎりぎりか少しすぎてからのご登場になるだろうから、次官は先に部屋に行かせ必要な書類やらなにやらの準備は任せておいた。
伊藤はふん、と不機嫌に山県のそばをすりぬけると、廊下に出ててかてか歩き出す。山県は扉をしめ、そんな伊藤の後を追う。
廊下に響く、足音が二つ。
ひとつは今にも駆け出すか転ぶかしそうな危なっかしいリズムで、ひとつは全く狂いもない一定のリズムで。不協和音ともいわないが、ハーモニーともいわない、そんな足音が静かな廊下に響くのだ。
外は良い天気だ。ふと窓の外を見やった山県は、そんなことを思った。明るい日射しが、煌めいている。
そのまま歩を進めると、突然強い光が目を差し、思わず足を止めた。ちかちかする感覚にしばらくたえるが、残像に目がくらむ。ちょうど日の傾き加減で、どこぞの窓ガラスが、光を直に反射していたらしい。
山県は明るすぎる世界から顔を背け、先ほどよりも暗く陰惨な廊下の先に視線を戻した。
そこで、ふと目があってしまった。
一瞬立ち止まって、こちらを振り返った伊藤と。
伊藤はすぐに前を向いて再びあの"箒公"の名に違わぬよう半分足をずって歩き出す。
伊藤の後ろを歩くのは、山県なりの勝手な「敬意」の示し方だ。そしてそれを当然と信じて疑わないのも、伊藤なりの勝手な「信頼」であり「自尊心」だろう。
唯一の親友をのぞいて誰も並び立つのは許さない、この国随一の指導者たる自信。
だから山県は、あの一瞬だけ後ろを確認した伊藤が思ってたよりも全然小さく頼りなく、ついでにその表情が不安げな子供みたいだったことは全部未だ目の前をちらつく残像のせいにして、再び歩き出した。
廊下に響く、足音が二つ。
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これでもブミガタといいはる。いいかこれはブミガタだ。←
ガタが繊細で世話好きなのがいけない。
どんなに相手が嫌いになっても些細なことで気になって離れられなってgdgdになる典型。
伊藤は追いかけてくる相手を組み伏せるのが好きだと思うんだ(なんだそれ)
かまってちゃんですね多分精神的優位が欲しいのだよ。
ちなみにBGMは某アリのイチゴパイをお食べだよ!何でとか言わないで!誰かさんのイメソンやっほい!
読み物 / 2011.08.11