恋愛相談
7.afternoon
「珍しくご機嫌ですね」
「いつも通り不機嫌やな」
「なんか腹立つ。ねぇ、今回はミヨ、誰がどう見てもいい子じゃなかったですか?」
「・・・せやねぇ。まぁこれでこちも堂々とお買い物できるし、原くんも良いシャツが手に入ったし、岡崎くんの株もちょっとはあがったやろうし、ミヨも色々手に入って。珍しくハッピーエンドでよかったんちゃう?」
西園寺が所感を述べると、でしょ?とようやく巳代治も満足気な笑みを見せた。
「あ、色々っていうことは、今度原さんにおねだりするの、見逃してくれるんですね?」
なんだかんだ言って巳代治が本当の本当に政友会を潰せないことは、西園寺も巳代治自身も知っている。嫌がらせ程度で、時々度がすぎることもあるが、それで巳代治の気が少しは晴れるなら別に、後は原がどうにか対応してくれるだろうと西園寺は信じている。単純に投げているとも言う。
「そこまで言ってへんけど。まぁかわいいミヨのためにお買い物くらいは付き合ったるよ」
「別に、無理に付き合っていただかなくていいですよ、財布だけ貸してもらえれば・・・、失礼しました。財布なんて持ってないですよね。名前だけ貸してもらえればー」
「何?政治の云々はいざ知らず、お買い物までこちと付き合いたない言うん?いつからミヨはそんな子になってしもたん?」
巳代治が足を組み替えた。
「その暗に政治の云々では付き合う気がないことアピールするのやめていただけません?ミヨもえらくなったので、情報色々入ってくるんです。西園寺さん、今日、桂さんと会うんじゃないんですか?」
「え、あー。そんなこと?」
そこで西園寺はなんや、と座りなおす。
「謁見ならともかく、別に。どうせ原くんー」
西園寺はその原も帰りがいつになるのかは実はわからないことに気づいた。しかしまぁ、仕方ない。これほど気持よく晴れている春の午後が悪い。
「・・・別に、ええわ。ミヨ、何が欲しいん?」
ほら、政友会を潰すことなんて、思ってるよりも簡単だ。思い知ってくださいね。
僕がさせませんだなんて、そんな歯の浮くような台詞自信満々に言ってくれて、ざまぁみやがれ。
巳代治は、とりあえず美味しいお昼ごはん、とつぶやき、ニッコリと笑った。
恋愛相談 終
エピローグ
貴族院事務所。
「伊東さん、なんて?」
清浦はご丁寧に「すぐ返事を寄越せ」との伝言を添えられた手紙を、見るからに斜めに読んでいる平田に話しかけた。
「まぁ色々書いてるがほとんどどうでもいい・・・要するに政友会との交渉代は後で払ってもらうということだろう」
あっさりとそら恐ろしいことを言われて、清浦がため息。
「・・・なんか微妙に態度が軟化したと思ったら。いつの間に動いてたんですかね。とゆーかどうやって。」
「さぁな」
平田はそうして手紙の最後の方にさしかかり、そこで少し眉をひそめた。清浦はもちろんそれを見逃さず、恐る恐る尋ねる。
「まだ何か?」
あの平田が表情に出さざるを得ないほどの面倒な厄介ごとか。それとも。平田は手紙を再び折りたたんで、手近にあった紙と筆をとる。
「どうしてあんなに東北男児は鈍いのか、と」
「えっ?」
そのあまりのくだらなさは確かに平田のまゆをしかめさせるに十分だと清浦は思った。
「後藤新平や私は、鈍いというより図太いだけだけど、だと。」
「なんてゆーかそれ失礼じゃないですか・・・え、返事それだけですか?」
平田が一筆走らせただけでそれを閉じたので、思わず清浦が身を乗り出した。
「なんて書いたんですか?」
「お手紙ありがとう、だが」
「なんてゆーかそれ失礼じゃないですか・・・」
清浦が自信なさ気につぶやいた。そうしてそれからこれは鈍いというのだろうか、それとも確かに図太い?と一人逡巡することになる。
平田はとりあえずすぐに返事を寄越したという事実を優先させ、おそらく原あたりに何か恩を売りつけたに違いない、次回このとてつもなく面倒な人間に会ったときの長めの返事と、無難な世間話と、上手いかわし方をぼんやりと考える。
春の嵐は、まだこれから。
おわり
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清浦平田オチ。まさかの。/(^o^)\
いやこれは本当ただの蛇足ですが。
思ったよりも大分長く(量的にも時間的にも)なってしまった・・
まとめなおして寄り思った。なげぇ。。。なんだこのパワー(笑)
正直元ネタ何もなくひたすら妄想なのでこんな申し訳ないあぶぶぶぶぶ\(^o^)/
いや、でもね!岡崎とミヨとかよくね?いいよね!
なんか岡崎くんよくミヨん家行ったりしてる(by翠雨総日記)し!
っていうのはどこまでも妄想だったんですが、
今読んでる伯爵みよじ伝のさ、岡崎くんのダークホースっぷりがやばい。
まぁしんてー会になぜか岡崎くんがいるからってことだろうけど・・
いや、あり。このコンビありよ。すごい晩年だけどね!
細かいことはまた別のところで^皿^
そして突っ込んじゃダメよ、お前ら何歳だよとか突っ込んじゃダメよ
コノモノガタリハフィクションデス!!
お粗末様でした~個人的にはすげー楽しかったです^^
お付き合いくださった方いらっしゃいましたら感謝御礼
読み物 / 2011.08.11