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恋愛相談5


そろそろ飽きてきry 慣れないことはするもんじゃねーな^q^
岡崎+巳代治と乙女な原くん(笑)





5.シャツと赤ワイン


「・・・絶対君とは、あと西園寺さんとかも、一緒に仕事しないとあの時心に決めたね。」
「あらー残念ですね。ミヨはあの時から割と岡崎さんのこと気に入ってたのに」
 背筋にぞくっと寒気が走るのを岡崎は確かに感じた。
「君の愛情表現って相変わらず歪んでるよね・・・気に入られてるとは露とも思わなかった。君のせいでどれだけ苦労したと・・・」
 精一杯の嫌味を込めようと努力はしてみたものの、にっこりと音の出そうな巳代治の微笑みの嫌味っぷりにはとても叶わなかった。
「で、結局進退ままならないでミヨのとこに恋愛相談に来るの、いい加減やめてくれない?」

 天気の良い昼前時というのは、ぽっかりとした平和と空腹感に徐々に満たされ始める。それは人の気持ちを緩慢とさせ。

「・・・ごめん」
「気持ち悪いから謝らないでください」
「君、あの頃から大分変わったね」
「貴方達が進歩なさ過ぎなんです。見ててほんっとイライラする。進歩なさすぎて、まだ可能性が残ってるだけで。説明するの面倒くさい。」
「何言ってるんだよ、御説明はお手のものだろ」
 
 だから岡崎は少し手前の曲がり角を、見慣れた馬車が一台、急停車するのに気付かなかった。

「うるさい。もう行きますよ」
「はいはい」
 そこで巳代治は右腕を上げ、一瞬困惑する岡崎に対して今度は満面の笑みを向けた。
「今度はまさか先に乗り込んでぼーっとしたりはしませんよね?」
「・・はいはい」
 今度は岡崎が苦笑して、巳代治が差し出した綺麗な包を手に持ち、もう片方の手で空いた巳代治の手を取ってエスコートしてさしあげた。



「原くん!」
 とっさに岡崎が振り返ると、見慣れた光景――のある意味逆。馬車から身を乗り出すようにして原の名前を叫んだ西園寺と、傍から見ているだけで何かおそらく勘違いをして怒って早歩きで立ち去っていく原、が見えた。



「ちょっ、なっ、えっ、な、なんで原くん?!」
「絵に書いたようなシチュエーションね。我ながら感動しちゃう」
「感動してる場合じゃないよ!」
 岡崎は思わず巳代治の手を離してそのまま走りだそうとしたが、もどかしげに振り返って手に持った包を巳代治に押し付けた。
「岡崎さん」
「ごめんねまた今度!!」
「岡崎!」
 いきなりどすの効いた声で怒鳴られ、思わずもう一度振り返った岡崎の顔面に、ばしっと最大限の衝撃で包が投げつけられた。
「要りません」
「はい?!何どういうこと?」
 先程の低い声色はどこへやら、巳代治は髪をかきあげながら、いつも通り何かに飽きたような、諦めたような、相手を馬鹿にしたような着飾った声でつまらなそうに言った。

「他人のサイズの服なんて着ない主義なんです。原さんに伝えてください。
 ―シャツを赤ワインで染めるのも、悪くないでしょって」

 岡崎はそこで包に目を落とした――困惑と驚きの混じった顔で巳代治を見上げ、なにか言いたげにした後、ありがとうとだけ呟きそのまま走っていった。




to be continued....


| 2011-04-22 | カテゴリー: Story

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ろうあ

楼 亞 (ろうあ)

主に明治・大正時代の歴史好きです。*元老・第二世代・官僚閥 (歴創) *旧帝大の学部、旧三商大(擬人化)*一部女性向け表現を含むことがありますので苦手な方はご注意ください。連絡は

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