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情操教育


かっとなってやった伊藤末松巳代治。
誰得って、俺得。ちなみに末松一言しか喋ってない\(^o^)/
藤門四天王、こわしと金子のキャラが定まらなくて絡ませられない。
巳代治が末松のこと気にしまくってて末松がそれを広い心とお腹で受け止めてあげる関係がいいと思いま(ry

伊藤が馬鹿です。巳代治も馬鹿です。タダのギャグ。末松は被害者です。
需要?私今学期経済の授業とってないし!






 首相部屋から、今日も怒鳴り声が聞こえてきた。

「巳代治!」
「何ですかっ!?」
 それにヒステリックな声が続く。

「んもぉおお閣下はミヨが末松さんと一緒にいるときはいつもいつもそうやって怒って!私が何をしたって言うんですか?!」
「何かしてからじゃ遅いんだよ!いいからその手に持ってるナイフをおけ!」
 伊藤に厳しい顔で問い詰められた巳代治は、しぶしぶ伊藤が指さす机の上に刃渡りが手の平くらいあるナイフを置く。

「いいか巳代治、お前はちょっとここに座りなさい」
 伊藤はわざわざ自分の椅子にむすっとしている巳代治を座らせ、その前に立ち子供に諭すように(実際したことはなかったけど、恐らくもし自分が男の子を持っていたらいつかはこんな風にしたりする日もあったんじゃないかと伊藤は思う)語り始めた。
「あのね、お前が末松のことを気に入って仲良くするのは僕はとっても良いことだと思うよ」
 実際この気むずかしくて面倒な部下のことをほんのちょっぴり、時々心配しないこともない伊藤にとって彼が他の人間とそれなりに関係を築いているのを眺めるのはなんとなくほっとするものだった。

「私たち、仲良くしてますよ」
「そうだね」
「私末松さんのことはそれなりに評価してます」
「うん」
「だからこそですよ」
「うん?」
「だからこそ気になって気になって仕方ないんです」
 そう言って巳代治はじぃっと、実は伊藤の部屋でさっきまで巳代治の隣で草案を手がけていた末松、
のお腹を見つめる。

「あの弾力、人間としてあり得ます?おかしいじゃないですか!
 絶対何かあるんですよぶっちゃけ西洋の解剖医に突き出して詳しく検査してもらいたいんですけどそんなことしたらきっと閣下が寂しがると思ったから、私がちょっと中身をのぞいてみようとしただけなのに閣下は!」
「何が閣下はだお前は!いいそれは人殺しっていうの!切腹って知ってる?お腹を切ったら人は死ぬんだよ!」
「じゃぁおたずねしますけど何のために介錯があるんですか?腹切ってもそうそうすっぱり死ねないからじゃないんですかだからちょっとだけでしたら大丈夫ですよ!」
「あぁあああお前の精神年齢は一体いくつなんだよ!!」
 伊藤は机にあった資料を丸めて椅子に座ってる巳代治の頭をべしべし叩いた。

 いつの頃からか、巳代治の末松のお腹のぷにぷにへの執着が度を超すようになり、はじめはつついたりぺちぺち叩いたりしているだけだったのが全力の拳になり、棒でごすごすしてみたり、しかし末松が何をされてもにこにこしているので伊藤や周りの人間としてもこれも交流のあり方なのだろうと納得しひやひやしながら見守っていたのが、最近はこんな風に尖った物やら刃物が登場してきたから始末に負えない。
 伊藤とて娘婿を目の前でむざむざ見殺しにするわけにはいかない。
「とにかく、こういう刃物とか尖ったのはダメ!わかった?」
「わかりません!ちゃんと理由を説明してください」
「人間としての良心に問えばいいだろうが」
「またそうやってどうとでもとれるような曖昧な物言いをする。閣下、それは後々に必ず閣下自身が困ることになりますよ、憲法条文だってそうです、そもそも閣下は」
「憲法の解釈とそれって同レベル?!ていうかお前本当頼むから一部の精神年齢だけを極端に下げるのやめろよ!」
 そこで伊藤ははぁああと大きくため息をついた後、そうだこの部分だけにおいては今もなお法律とはなんたるかをとくとく語っているこのいつもの秘書官ではなく、本当にタダの子供だとしたらどうだろう、と思い直した。


「閣下聞いてらっしゃいます?それなくてもあの政党の人間たちは・・」
「よし、いいかい巳代治。例えばだよ、お前の奥さんが子供ができたって時に、男の子か女の子か知りたい時にお腹をちょっと空けてみようかなんてことするか?」
「まさか」
「そうだよね、んで実は末松のお腹には赤ちゃんがいるんだよ」
 その瞬間、巳代治が最高にうさんくさそうな顔をし、それまで我関せずでもくもくと作業していた末松も顔をあげた。

「もちろん普通の赤ちゃんじゃないよ、男は子供産めないからね」
「閣下、お疲れですか」
「誰かのせいでね・・・、いや、それでさ。だから、何かそういった赤ちゃん的なものが、いるわけだよね。だからこうその弾力があるというか、それで、その子のためにもお前はお腹を開いたり、突き刺したりっていうのはよくないの、わかる?」
「馬車を用意してきますので、後医者と」
 巳代治が末松の方を真面目な顔で振り返り立ち上がろうとしたのを、だんだんノってきた伊藤は巳代治の頭を優しくぽんぽんと叩きながら再び座らせた。
「ねぇ巳代、だからいい?こういうもの持って来ちゃダメ」
「閣下、えぇっと、あの、はい、わかりましたから」
「じゃぁもうしませんって約束しなよ」
「それは致しかねます。仮に本当にそういう赤ん坊的な何かがいるなら、別ですけど」
 そこをくそまじめに答えるあたり、既に巳代治もわりかし伊藤の手に引っかかっていると言える。伊藤は内心ほくそ笑んだ。

「いる。いるって僕がそういうんだからいるよ。僕を信じられないの?
 なんなら、末松のお腹に耳当てて聞いてみなよ。」
 ほらほら、と巳代治を椅子から引っ張り立たせると、伊藤はにっこりと笑った。
 巳代治は至極疑うような目で、しかし伊藤の笑顔と特別何の反応も示さない末松を見比べて、しぶしぶ末松の側に寄った。
 一応は話の流れを聞いていた末松は特に何も言わずに、そこで始めて仕事の手を止めると、自分のお腹に若干おそるおそるといった感じに耳を当て大人しくしている巳代治を受け入れてやる。




 -と、いうような光景を見れた時点で、伊藤はそこそこ満足した。
 いやいや、ちゃんと相応に扱ってやれば、なかなか可愛いところもあるもんだなととってつけの父性に満たされてご満悦。
 これで巳代治が大人しくなってくれればもう願ったり叶ったりなのだが。伊藤は自分の椅子に座り直すと、悠々と葉巻に火をつけた。

 一方伊藤に言われるがまましばらく真剣に末松のお腹に耳を当てていた巳代治だったが、突然「うわぁあああ」と声を上げた。
 びくっとした伊藤は思わず葉巻を吐き出す。
「閣下!」
 そしてがばちょっと起き上がり伊藤の方を怒ったように振り返った巳代治の表情の意味するところに、困惑する。
「どうして今までこんな大事なことを黙ってたんですか?そうと知ってれば私だって考えるところはありましたよ!」
「な、何を?」
「末松さんのお腹に、もう言葉まで話せる何かそんな不思議な存在が・・いただなんて。この弾力はその不思議さにあやかった、そういうことだったんですね」
「何?何が?何なの?」
「え?閣下、聞いたことないんですか?それなのに末松さんのお腹に何かいるってご存じで?」
「えっ、いや、いやいやいや、うん、うんそうだよねお前も聞けてよかった・・ね!」
 本当の子供のように純真な態度で感動を表す巳代治の普段ない姿に動揺した伊藤は混乱した頭のままひきつった笑顔だけを作り、頷いた。
「え、そ、それで、お腹の子はなんて言ってたんだい・・?」
「秘密ですーw閣下も聞いてみたらいかがですか?」
「そそそそそそうだよねぇ、じゃぁ僕も久しぶりに聞いてみようかな」
 にこにことご機嫌な巳代治に言われるがままこくこくと頷いた伊藤に向かって、ここで始めて末松が「やめといた方がいいですよ、」とだけ呟いた。

 しかしその忠告は巳代治が見計らったかのようなタイミングで間髪いれずにきゃいきゃい騒ぎながら伊藤の腕を引っ張ったので、伊藤に届くことはなかったとか。


情操教育。
(それはいつだって子供と大人のだましあい!)


(でも閣下ご存じでした?殷の時代には、ある皇帝が女性のお腹の子の性別と顔の向きを見るために兵に腹を切らせてそれを確認したんですよ?)
(わかった巳代治お前を騙そうとした僕が悪かったよ。あぁ僕が悪かった。だからその氷も驚くレベルの笑顔をやめろ)


| 2010-04-25 | カテゴリー: Story

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ろうあ

楼 亞 (ろうあ)

主に明治・大正時代の歴史好きです。*元老・第二世代・官僚閥 (歴創) *旧帝大の学部、旧三商大(擬人化)*一部女性向け表現を含むことがありますので苦手な方はご注意ください。連絡は

roua_c7h5n3o6@yahoo.co.jp または拍手/Twitter等でお気軽にどうぞ。

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