例えば高杉さん、と言われたとき、一瞬だけ例えば他の誰か、を考えてみた。
ずいぶんいろんな人間を思い出してみて、その一瞬のうちに浮かぶその多さにも辟易したがそういえばあいつの顔が思い出せなかった。
伊藤がようやく帰った後、一人でもう一度考えてみたが、やはりどうもつかみ所がなかった。
居間に立てかけてあった槍を取り出してきて、軽く構えてみる。
床に向けられた先端、こうしてよく向かい合って打ち合ったものなのに。
声とか、何かと後ろから突進してきたりぶら下がってきたりした衝撃とか重さとか、殴り合いやら斬り合いやら撃ち合いやらになったときの癖とか、そんなどうしようもないことは覚えている、のに。
どうして思い出せないのだろう、思い出せないわけないのに。
最期を、忘れたわけじゃないのだから。
(そうならよっぽど幸せだけど)
床についた槍がからんと乾いた音を立てた。
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ガタ独白バージョン。うん本当はこういうこと絡めてブミガタ→時にするつもりだったんだ。
あ、そうそうあいつとは時山のことですね、時ガタも大好きだw
ガタはナオの顔とかよく思い出せないといいよ。
最期はそれだけだったのにね、なんたる悲恋。